優しさと切なさ

おじさんと食事をすることはマサさんにも伝えていた。彼は自分が夕飯を共にできないこと、お金のこともあって何も言わなかった。

おじさんと別れてマサさんに“今からホテルに戻ります”と連絡をした。マサさんの優しさだったのだろう、彼がタクシーで原宿まで迎えに来てくれるという。私は電車の方が早いし大丈夫だと断ったが、引かなかった。

私はおじさんとの余韻に浸りたかったのかもしれない。

マサさんが電話で丁寧に原宿周辺の建物を説明し、そこで待っててと言った。おじさんがお店の場所を説明したのと違っていた。優しくて私を気遣ってくれているのが分かった。

マサさんのタクシーに初めて乗った。彼はこの車でお金を稼いでいるのだなぁ。タクシーの助手席に乗るのは何だか変だなぁ。と思った。

マサさんは『 食事どうだった?』と聞いた。私は「うん。楽しかった」と答えた。すごく普通に答えたつもりだった。その後マサさんは笑いながら、でも心を見透かしたみたいに言った。

『本気になったのか?』

私は窓の外の沢山のネオンの光を眺めながら「ただのおじさんだったよ。」とバレバレの嘘をついた。

ホテルに着くのはまだだろうか?やっぱり電車で帰って、ホテルに着いてからマサさんに連絡すれば良かった。

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