冬の人#Ⅳ

日が落ちかけた頃

“もうすぐ着くよ”

と冬の人からメッセージがきた

“今ホテルの近く”

“ホテルの前”

“ホテルのロビー”

“エレベーターに乗った”

“部屋の前”

会う前のカウントダウンみたいなメッセージが届いた

「おかえりなさい」

そう言って私は出迎えた

冬の人が荷物を置いている間に、夕暮れの街を窓から見ていた。冬の人が後ろから抱きしめてくれて、付けたての髪のコロンに『いいにおいがする』と笑った

私たちは日が暮れるのと同じタイミングでセックスをした。2度目の少しだけ緊張が和らいだセックス

『まだまだ時間がたくさんある』と彼が言ってくれたのが嬉しかった

焼き鳥屋に行く間も、食べている間も、食べ終わった後も私はご機嫌に喋り続けていた。声に出して大声でなんども笑っては、冬の人がそれにつられて笑った

焼き鳥屋のお会計を冬の人が出してくれると言ったけど、私は「今回は私が出すから、次回はお願いします」と断った。念の為、念の為に約束をしておきたかった

焼き鳥屋を出て『まだ時間が沢山あるから少し歩こう』とイルミネーションの街を二人で笑いながらまた歩いて、珈琲を飲んで、また歩いてホテルに戻った

そしてその日2度目の、出会ってから3度目のセックスをした

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