冬の人#Ⅴ

私はその日ショートスリーパーだと言う割にスヤスヤと眠る冬の人の横で、一睡も出来なかった

まだ心を許してなかったから

スヤスヤと眠る彼の姿をまた見られるのだろうか?不倫は突然予告されることなく終わるんだよな。臆病者の私はそう思いながらひとりで泣いた

朝起きて、『眠れた?』と聞かれたので「うん」と少し嘘をついた

朝のまどろみの中でまたセックスをした

出逢ってから4度目のセックスだった

冬の人がこんな風に何度も求めてくれることが嬉しかった

寝癖がついたボサボサ頭の冬の人を初めてみた。私は愛おしかった

こんな風に格好付けずに目が覚めて隣にいるだけで求め合える喜びが欲しかった。普段の生活の続きみたいな、そんな風なセックスが理想だった

コンビニで買っておいたサンドイッチを食べてホテルをチェックアウトした

私はそのまま約束していた映画に行きたかった。けれど、冬の人は仕事に行かなければいけないと申し訳なさそうな顔をした

一睡もしていなかったので頭が働かず

「分かった。またね」

と私が言うと彼が駅まで送ろうとしてくれたので、最初に会った時と同じように

「子どもじゃないから大丈夫」

と笑った

あまりにも眠たくて振り返った時に冬の人がどんな顔をしていたのか覚えていなかった

次に会えるのは冬休みを挟むので三週間後の予定だった

私は次のデートは約束していた“二人が初めて観るのに相応しい”という映画にしようと意気込んでいた

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