冬の人#Ⅵ

鬼門は冬休みだった

そして運悪く冬休みが始まる頃に私は生理になりそうだった。生理前になる女性ホルモンのイタズラというより意地悪に近い不健康な心模様

それが重なった

些細なことだった。冬の人が仕事納めをして東京に戻ると連絡をくれなかった。マッチングアプリを開いて、離れた距離を見て気がついた

私はそれを素直に言えなかった。心に溜め込んだのがダメだった。少しやり取りの歯車がズレてきたのが分かって、余計に焦ってしまった

冬の人には二人の子どもがいた

娘と息子

それは何気ないやり取り

「男の子は育てたことがないから羨ましい」そんなことを私は返信したと思う。冬の人はこれにこう答えた

『産めばいいよ』

音にすればどんな音になっただろう

私の心の地雷を確実に踏まれた

少し仲の良い友達や、ママ友や、職場のおじさんや色んな人に言われ慣れて免疫が出来ていたはずだった

サラッと流すことが出来る言葉にはなっていたはずだった

けれど冬の人には言われたくなかった

私は流産の経験がある

初期流産のだったが手術が必要だった

遺伝子の問題で誰のせいでもないといわれたけど、身内と手術で一週間仕事を休む必要があったので職場の上司と同僚にだけ打ち明けた

それからしばらくして私は病気になったので、沢山薬を飲まないといけなくて、何より健康を維持して日常生活を送るので精一杯で、医師からは妊娠を避けるように言われていた

この事は冬の人は何も言っていなかった

まだ2回しか会っていないのだから・・

その経緯を知らずとも、私は旦那氏とのレスについては正直に話していた。その上で発せられた想像力に欠けた発言にどのように返せばいいのか迷って、それでも私は自分を分かってもらい、これからもこの人と居たいという小さな希望があったのだと思う

「昔、流産をしてね。よくある初期の遺伝子の誰のせいでもないやつ。だから色々と難しいのよ」

サラッとでもきちんと伝えたつもりだった。冬の人は謝罪をしてくれて、もうこれでこの話は終わりだと思っていた

けどそうじゃなかった

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