変わりゆく季節

元彼と20年前に付き合っていた時、過ごしたのはひとつの季節だけだった。

もっと一緒にいた気がしたけど、夏の間だけ。私の誕生日は8月で付き合った経験がほぼなかった私は誕生日をディズニーランドで過ごしたかった。

彼はいつものように困った顔をしながらその案を受け入れてくれた。

覚えているのは私が手書きの手紙が欲しいとゴネて彼が深夜バスに遅刻しそうになりタクシーでバス停にきたこと。

ディズニーランドでミッキーとミニーの大きなぬいぐるみを買ってもらったこと。

そんなことだった。

本当はぬいぐるみなんて欲しかった訳じゃなかった。大きなぬいぐるみを彼氏に買ってもらえるくらい幸せな彼女であることを皆に知らしめたかった。

私のそんなどうでもいいエゴを元彼は叶えてくれた。

ひとつになれなかったのに好きだと思い返すのは彼だけだ。

それ以降に付き合った人は当たり前のようにひとつになることがセットだった。

飽きることなく手を繋ぎ、キスをして乗らなければいけない電車をいくつも乗り過ごしてホームで過ごした。

ホテルのあの一件以降、元彼は明らかに私を避けるようになっていた。

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