旦那氏とのそれ

他所で誰かを好きになり、それ誰かに抱かれたいと想って、その誰かも抱きたいと想ってくれることが続いて、私は旦那氏に期待することはなくなった

挿入に拘らず、スキンシップで満たそうと試みたことは何度もある

Amazonで必死で購入したバイブだってその為の御守りみたいなものだったから

でもスキンシップは今までセックスをしていた人ならそれ以上を期待してしまう。期待して望んで、それが叶わなくていつも最後に旦那氏に「ごめんね」と言わせてしまう

それは私にとって哀しみであり、苦痛であった。抱かれたい人と願った人はいつも元気な人が多くて、私に欲情してくれた

私は旦那氏が勃起不全になったのは自分のせいだと思っているから、それを満たすための行為だった

ある人のブログに不倫をするというのは嘘をつく人生、伴侶を悲しませる人生だと記されていた

そのブログを記した人は独身だった

不倫をしなくても私はセックスをしたいので、性欲があるので嘘をつく人生だった。性欲があるので、旦那氏にセックスを求めて悲しませていた

セックスという不特定多数としない、特別な人とする行為は何万人もフォロワーがいて、本を出しているブロガーさんの言葉でも揺るぐことなく、手に入れたいものなのだ。今は。

もう少し年齢を重ねれば違うかもしれない。ならば私は嘘をつきながらもセックスを手に入れたい

私が決めること

そう思っている

秋の人との別れ

もう次に秋の人に連絡した時にはLINEの文面だけで悲惨な状況に陥っていることが分かった

奥さんは発狂していて、彼も参っていて探偵も雇われているらしかった

細かく確認できなかったけど、疑われたのは私ではなく過去の人の事のようだった

私のLINEはブロックされなかったし、連絡が取れる状態だったからだ。日頃、彼は家庭内で変わり者扱いされて期待されている夫ではないことは聞きていた。過去に付き合っていた独身の女性の存在は聞いていたし、結婚を迫られて別れたと言っていたのも思い出していた。

仕事は出来るけど、変わった人なのでスキがあったのだろう。そして奥さんもいざとなれば発狂するのだなと思った。

秋の人は疲れ切っていて、もう私と会える状況にないことを伝えてきた。彼がお金を儲ける上で執着は不毛だと言っていて、それは私に対しても同じだと感じたし、彼には仕事以外にも副業があってそれに情熱を燃やしていたのでそれに専念するようだった。

こんな別れは初めてのことで数週間やり切れなくて、未練がましく連絡をとったりしたけど、秋の人は私の事がどうとかでなく『家族を大切にな』を繰り返した。不倫なので家庭を捨てるつもりなどお互いにないのが成り立つ条件で、それでも秋の人のことが好きだったし、不意に訪れた別れに何度か泣いたし、今も泣けてくる。

救われたのは秋の人が他の女を抱くことはしばらく無いということのみだった。

引き出しにそっとしまったポケットチーフを何かの拍子に見つけてチクチクと胸が痛む。

不倫はお互いの気持ちだけで成り立たない。必ず次に会えるとは限らない。キスが出来るとは限らない。

会える時に会い、これが最後かもしれないことを哀しくてもインプットしておかなければならない。

彼の住んでいる街にまだ行っていなかった。もう行くことはない。

季節が冬になっていた。

三度逢って、四度セックスをして私の秋の人との関係は終わった。

秋の人が疑われる

私は今か今かと秋の人の連絡が取れる日を待っていた

人は期限が設定されているものには意外にも頑張れるものなのだ。毎日何度もやり取りをしていたLINEは無くなって空虚感があったけど、私はそれを埋めるためにTwitterを始めた。誤魔化すのが得意なのだ

寒くなってきて、ようやくその日が来ようとしていた。私は最初に送るメッセージをずっと考えていた

「これで私が自制心のある大人の女だって証明されたでしょ」

これにしようと思っていた

そしてその通りにした

秋の人からは

『元気そやな』

優しい答えが返ってきた

そしてその次に

『最近、嫁がなんか変やねん。えらい疑われとる』

私が必死に我慢していた時間に何があったのか分からない。ただ直感で

「秋の人にはもう会えない」

それは感じていた

パズルのピース

結婚して良かったと思う

家族がいてよかったと思う

ひとりの時間は好きだけど、ずっとひとりなのはすごく苦手。寂しがり屋なのだろう。ややこしい寂しがり屋

たまに過去の恋愛や自死した友達や人間関係や何だか分からない寂しさが押し寄せてきて涙が出る時がある

泣いていて、最後の方はなんで泣いていたか分からなくなる

皆、こんな風に泣いたりしないのかな?

いつも心のパズルのピースがひとつ欠けたような人間だと自分のことを思っている

たったひとつのピースを埋めるためだけに生きている

いつもぽっかりと穴が空いていて寂しい

寂しいのか

寂しいような気がするのか分からない

秋の人と時間をおく

自分の悪い癖なのだろう

私はいつでも自分の熱量と同じ熱量でいて欲しいと願っている。願っているだけならいいのだろう。でもそれを強要する。正確に言うと強要しているつもりは無いけど、結果としてそうしている

いつも気持ちを共有していたい

give-and-take

giveしたらtakeしてほしい

男性が気を許した証拠でもある“構わなくなる”がこの時は許容できなかった

構って欲しかった。それを疎ましく思われれば思うほど焦って構ってもらおうと必死になる

充分だったじゃないか!

今はそう思う。充分にそして誠実に対応してくれていた。けれど、不倫なのでどこかいつも不安だったのかもしれない。

秋の人が当たり散らす私に自宅を無理やり抜け出して電話をかけてきてくれ言われた

『そんなに恋愛に重きを置いてどうするんや?もっと他のことも大切にした方がいい。そんなんやったら俺も困ってしまうで』

私は泣きじゃくっていた。あぁ、なんかいつもこうなってしまう。もう少し自分をコントロールしないと秋の人を失ってしまう。直感だった

「ごめんなさい。ちゃんと自分をコントロール出来ることを証明する!今月はもう連絡を取らない」

そう約束して私は秋から冬へと向かう三週間、秋の人と連絡を取るのを辞めた

秋の人と最期の夜

柔らかい夜

振り返ればそれが秋の人と過ごす最初で最期の夜になった

まだ陽は長くて夕方までセックス未満のことをして抱き合っていた

秋の人は日が暮れると夕飯を食べに行こうと誘い、賑やかな都会の街に二人で繰り出した。彼は私に聞くことなく肉か寿司を食べると決めていて、随分と強引だなと思いつつも、ずっと握ってくれた手の温もりがそれを帳消しにした

お寿司屋さんはとても混んでいて、お寿司屋へ行く前にもらったチラシの韓国料理屋さんへ行った

全然お客さんの以内お店だったのに思った以上に美味しい料理ばかりで、彼はお店のコストのことを語り、私はそんな話を聞き流し、ヘラヘラと笑っていた

ホテルに帰ってまた抱き合った

過去の好きな人の話、仕事の話、のんびり海外旅行でも行きたいという話をした

『究極、nanaとはセックスせんでもええんや』

と言っていたけど、柔らかい夜に二回そして朝に一回、計三回ひとつになった。私は私の躰で欲情されるのがうれしかった

シャワーを浴びていると無理やりユニットバスに入ってきたり、ご機嫌な時にでる鼻歌が音痴だったり、秋の人がとても愛おしかった

ホテル代も食事代も『与えることはあっても奪うことはしない』の言葉通り秋の人が全て支払いをした

チェックアウトの12時にホテルの前で別れた

私は家に帰る前にデパートによって秋の人へのお礼のプレゼントを選んだ

勝負の時に着ると言っていた紺のスーツに合わせて絹のポケットチーフを選んだ。白地に紺色の縁どりがされた水玉のポケットチーフ

とても似合うと思った

私はご機嫌にプレゼントを選んだ

そのプレゼントが渡せないなんて、もう逢えないなんて想像もせずに

秋の人に見せた顔

扉を開けた時、秋の人はスーツだった

初めて見た姿

どんな女性も好きな男の戦闘着を見たらキュンとなるだろう。私も例外ではなかった。

シンプルな紺色のスーツ。それに合わせた紺色のネクタイ。180センチある秋の人に似合っていた。

私は拗ねた顔をしていたけど、それでも逢えたという心の顔は丸見えだったのだろう。扉を小さくしか開かなかった。

それからわざとさっさと部屋の奥に行こうとして手を引かれた。そして抱きしめられた。

『なんや?拗ねたんか?』そう言って強く抱き締めてくれた。

「スーツに化粧がつくよ」私は強がった。秋の人は『いいんや』と抱きしめるのを辞めなかった。

秋の人が本当に好きだった。触れられてそれを実感した。

疲れているだろうに逢いに来てくれた。時間を作ってくれた。スーツよりも抱きしめることを優先してくれた。

口紅がつくよという言葉を遮ってキスをした。もう何度目か数えられなくなったキス。

キスを考えた人は天才だと思う。

ただそれだけで心がとても満たされた。

柔らかい夜の始まり

秋の人とお泊まり

自分でも呆れるくらい秋の人にお熱だった。答えは簡単だ。

セックスしたから。

セックスしたら気持ちがずっとずっと深くなる。女性だからということではなく、私はそういうタイプだった。

セックスするということは特別!

だから次に会う時はもっと長く一緒に居たかった。一晩中、独り占めしたかった。二人の関係を確固たるものにしたかった。

秋の人も了承してくれた。

ラブホテルではなくシティホテルを予約した。早くからチェックイン出来るから。少し綺麗なシティホテルにした。

秋の人は副業で人に会うからホテルに着くのは夕方になると言った。

私は先にチェックインした。

ソワソワして何度も携帯を見た。

何度も口紅を塗り直した。

予定よりも一時間半も遅く到着することに拗ねていた。

チャイムがなって私はまるで待っていなかったようにわざとゆっくりとゆっくりとドアを開けた・・・・

去り際は潔く

タケトが何度言っても

何度泣いてお願いしても

連絡をしてくる

病気のふりをしたり、自宅に来ようとしたり、気を向かせたいのは分かるよ。ストーカーではなく、計算してやっているのが分かる。御両親へ伝えると警告。

これが最後の警告だよ

去り際は潔く

みっともないのはいい
足掻くのもいい

けど人と人だから
越えちゃいけない境界線がある

相手に指摘される前に
自分で気が付かなきゃダメなんだよ

気が付いてるのに
気が付かないふりをして
憐れで涙が出た

貴方の引き際は
もっとずっと前だったんだよ

それでも

性的な不一致が発覚した私たちだったが、秋の人は彼なりに歩み寄ろうとしてくれているのが分かった

こんな風にセックスについて言葉で擦り合わせすることは必要なのか?と疑問に思うほどだったが、彼は論理的な人だったのでそれを望んだ。

秋の人はキスの相性がいいからきっとセックスも大丈夫だと言った。

私もそれには大いに同意だったし、セックスもしたかったけど、セックスをしなくても、それでも彼が好きだった。

私の過去も持病のことも何を聞いても動じたなかった。

『nanaはそれでええんや』

と繰り返した。そして一度目のセックスと過去の恋愛(マサさんのこと)を踏まえて

『俺はnanaに与えることはあっても奪うことは絶対にしない』

と言った。

それはこの後の人生で私にとっての大切な言葉になったし、また秋の人から言われたいNo.1の名ゼリフになった。