Tinder#冬の人-①

今考えても彼を右スワイプした記憶がない。操作ミスでもしたのかもしれない。あとから見返しても、ボヤけた本人とは分からなく加工された一枚の写真を見て魅かれるものはなかった

けれど、何故かマッチングして何故かメッセージを私は送った。飽和状態にあったイケメン達に飽きていたのかもしれない。

年齢39歳

職業Webデザイナー

という肩書きだった

私はその人を冬の人と呼んでいる

マッチングアプリではメッセージのやり取りは3リターン程で割り切りった関係を求めている人はそういった内容を送ってきた。まともにメッセージをやり取り出来る人は少なかった

冬の人はそういった類の内容を一切送ってこなかった。ショートスリーパーだと言う彼は深夜、私が寝る前のやり取りに根気よく付き合ってくれた

メッセージの内容が他の人にはない秀逸さがあった。秀逸とまでいうと大袈裟だが私にそう感じた

『nanaは性善説を信じる?性悪説を信じる?』

内容はいつもこんな感じだった。私は持論をツラツラと送り、冬の人がそれに対しての分析をしてくれた

屁理屈好きな私には心地よかった

変な論議の合間に少しずつお互いの状況を交換した

冬の人は東京出身で、単身赴任でこちらにきていた。自転車で通勤をしていた。奥さんと子供が二人いた。子供は女の子と男の子一人ずつだった。人と繋がるのがあまり好きではない人だった。石原さとみより池田エライザが好きだと言って、音楽と映画に詳しかった

もう他の人とのやり取りは激減して、冬の人とのやり取りを楽しむようになっていた

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